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本業とは別に、副業で「Cocoda Team」という Cocoda の toB 向けプロダクトにデザイン顧問として関わっています。さまざまな企業と会話する機会が増えているのですが、デザイン組織が構築されているケースが非常に多いことが学びの一つとしてありました。ここで指しているデザイン組織とは、マクロ/ミクロを問わず自社サービスのユーザー体験の向上をミッションとする組織と定義しています。

なぜ、デザイン組織を設けている企業が増えてきているのか?

デザイン組織そのものに対して、これまで UX デザイナーとして長年経験され、エンタープライズに勤めている方においては目新しさはないかもしれませんが、デザイン組織が設立される背景や過程がこれまでと異なっているように思います。企業規模も問わず、実際にスタートアップもデザイン組織を構築しているケースが出てきています。

ではなぜ、デザイン組織を設けている企業が増えてきているのでしょうか?

理由は3つあると考えています。まずひとつは、昨今よく耳にする DX(デジタルトランスフォメーション)を加速させるために、アジャイル開発に代表されるような、より早いスピードでプロダクト開発を可能とするための専門組織を構築するためです。専門家を外から雇ったり、社員をコンバートさせて組織を構築するパターンがあります。

2つ目は、特にデザイン業務をアウトソーシングしている企業に見られる傾向なのですが、自社にデザインのナレッジを蓄積していくために内製化したいというニーズから、デザイン組織を築き上げるパターンです。Pivotal Labs で働いていたときに、このようなニーズが多くありました。プロジェクト単位の契約では、ナレッジが引き継がれずに分断されてしまうことが多く発生するため、運用面も含めた課題解決としてデザイン組織の内製化があります。

3つ目は、ビジネスとエンジニアリングと同様に、企業の競争力を高めるために、CDO/CXO を積極的に採用し、デザインインパクトを創出しようとしている企業が増えてきたことです。2018年に経済産業省と特許庁が提言した「デザイン経営」を組織に導入するために高度デザイン人材を採用することを推奨していることがその背景にあると思います。

デザイン組織成功のカギは「学習」と「連携」にある

この時代の潮流からデザイン組織の「現実」を探るために、オンラインイベント「デザイン組織の理想と現実」を開催しました。登壇者は、独断と偏見で今最もアツイ企業でUXデザイナーとして活躍されているお三方にお願いしました。

マネーフォワード社は、ここ数ヶ月で CDO を新たに迎え入れ、各カンパニーにデザイン責任者を設置するなど、デザイン組織の強化に力を入れ始めている、注目企業のひとつです。ヤプリ社は昨年末の上場で話題になりました。今では企業の DX をアプリ構築で支援するサービスに注力しており、そのサービスの急成長を支えるデザイン組織に関心がありました。atamaplus社は個人的に大ファンで、LeanUX やデュアルトラック・アジャイルなどあらゆる手法を積極的に取り入れながら、デザイン組織を進化させて行っています。

イベントの詳細は「#デザイン組織」から辿ることができますが、個人的にお話を伺っていて印象に残ったことは、3社とも組織としての「学習」と「連携」に力を入れていることでした。

マネーフォワード社の場合、事業やユーザーに対する高い解像度を持ってデザインを行うため、ドメイン(カンパニー)ごとにデザイン組織が編成されています。加えて、デザイン責任者が兼務するデザイン組織の更なる強化のために専門組織(デザイン戦略室)も設置し、連携しながらナレッジシェアをしているそうです。ディスカッションで参加者よりデザイン組織におけるメンバーの採用や育成に関する質問があったのですが、マネーフォワード社では新たに採用するデザイナーに求める条件の一つに、学習意欲が高いことが加えられているそう。

ヤプリ社のプレゼンテーションを伺っていて印象的だったのは、デザイン組織はあれど、企業担当者を始めとする他部署ほど顧客理解が進んでいないために、本質的課題になかなか辿り着けない課題があること。そのため、他部署だけではなく、顧客理解を深めるために他のデザイン組織との連携を強化しているそうです。この課題にはとても共感します。ユーザーインタビューをする際に気をつけたいポイントのひとつですね。

atamaplus社では UX Unit Success というデザイン組織が存在します。各プロジェクトのデザインへの支援はもちろん、採用活動や組織設計の支援を中心に行っている組織なのですが、興味深かったのはチーム規模が拡大していく環境でも互いの学びを促進するための取り組みが盛んに行われていることです(例:UIランチ、UXギャザリング)。これは真似したいですね。

お三方にお声がけするときは気づかなかったのですが、全員デザイン組織のマネジメントに携わっていることがわかりました。参加者より事前に「デザイン組織の採用やメンバーの目標管理はどうでしていますか?」という質問をいただいていたこともあり、当日はデザイン組織の採用やメンバーの目標管理についても触れました。デザイン組織とはいえ、メンバーそれぞれが主体となって各プロダクトないしはプロジェクトに参画している故に、ドメイン知識のみならず同様のデザイン品質を組織横断で担保するために、プロフェッショナルとしてのスキルアップの必要性が問われています。atamaplus社のような定期的な勉強会の開催は、チーム運営のために必要不可欠な活動なのかもしれません。

デザイン組織に「正解」はあるのか

イベント後半に自分がモデレーターとなって行われたディスカッションでは、デザイン組織の理想論について議論。そこで辿り着いた結論は、デザイン組織に正解はないということです。正解を求めることは間違っている、と言った方が適切かもしれません。

自分のこれまで勤めていた企業を振り返ってみても、その実態は実にさまざまです。

  • サービスごとのチームの一員としてデザイナーが所属しているケース
  • 横串組織に所属しながら定期的に関わるプロダクトが変わってくるケース
  • 専門組織のデザイナーとしてプロジェクトごとにアサインされるケース
  • デザイナーが不在で業務委託で臨時デザイン組織が編成されるケース

イベント冒頭のイントロにて、デザイン組織を取り巻くディスコースについて海外の事例を紹介させていただきました。そこで見えてきたのは、UX デザイン職種の多様化と細分化です。

UX ライターや UX リサーチャーなど数年前までは馴染みのなかった職域(職種)が、サービスのユーザー体験の品質向上を目的とした活動として拡張しつつあることがわかります。これはあくまでも「理想のデザイン組織」の一例として今尚議論されています。これだけ多様化してくると、チームとして成立するのかどうか、はたまたメンバー間の連携が取りにくくなるのではないか、といった懸念があります。それ以前に採用できるのか、といった問題はありますが…。

しかし、自分はそれでいいと思っています。理想とするデザイン組織像は描き過ぎない方がいい。

我々は何か目新しいものや不安要素に直面すると、正解とは何か、完璧とは何かを直ぐに求めたがる傾向にあります。ところが、理想像を決めてしまうとそれに到達することがエンドゴールになってしまい、それ以上になることはありません。チームはプロダクトと同じで、生き物です。起こりうる状況の中で、常に変化しなければ不確実な状況下でも対応が困難になります。そうあり続けるためには、一人一人が責任感を持ってプロフェッショナルとして生存していくために、学習意欲を持つことが前提として挙げられます。これは、上記でも触れた通りイベント全体で共通した話題です。

個人的にも組織における UX デザインをリードしている立場にいるため、「あるべき」ではなく「なりたい」チーム像をイメージするときがあります。それは、サッカー日本代表の元監督である岡ちゃんこと岡田武史さんの言葉に表れています。

選手には、共感や信頼なんてなかなか生まれないから、お互いに存在を認め合うだけでいい。今まで全員仲良しなチームなんてなかったけど、”こいつは未だにどうもソリが合わないけど、パスしたら絶対決めてくれる”って思える関係性なら強いチームになる。

デザイン組織は常に変化していく生き物です。理想と現実は折り合い、高め合うものです。そのため、このような議論が継続的に行えるような場の設計を今後もしていきたいと思います。お楽しみに!

追記

当日の資料をそれぞれのスピーカーの方々に公開していただきました!

寄付の手法の多様化

近年、寄付をするという体験に変化が訪れつつあります。それは、従来の「社会のために役立ててください」という抽象的な寄付ではなく、寄付先、つまり対象を決めた具体的なものへと変わっていっている気がします。クラウドファンディングをはじめとする、寄付先が明確なプラットフォームに人が集まってきているのも、その現れかもしれません。SNS との親和性も高いことから、その勢いは更に加速しているようにも思えます。

もう一つの変化は、寄付者と事業者または個人が直接結びつくような動きが生まれていることです。これまでの寄付活動は、一方通行であったのに対し、近年は寄付をどう活かしたのかを会話するやりとりの場が増えてきているような気がします。

これらの変化を感じるようになったのは、自身の寄付活動による体験からでした。

なぜ、寄付をしようと思ったのか?

緊急事態宣言以降、家にいてリモートワークが増えると必然的にネットに触れる時間が増加します。そうすると、困っている人の話であったり、身近な社会問題について見聞きすることも増え、何かできないかと「Give, Give, Give, Give and Give」の習慣が働いたことがきっかけでした。

人間というものは、他人に一方向的に頼るような状態を嫌いなので、あなたから情報をもらった人は、必ずあなたのもっていないウェット情報をもたらすようになります。 (中略) ウェット情報をだすのに、いちいち見返りなどを期待せず、とにかく自分で聞き出してきたり、加工してきたりした有益な情報を「Give, Give, Give, Give and Give」という具合に、関係者に与え続ける、ある意味で逆転の発想です。 貴重な情報の取り扱いに慣れていない人は、すぐに「Give and take」というかたちでの見返りを相手に期待してしまうものなのですが、これでは自分が相当貴重な情報をもっていない限り、見返りとして等価に帰ってくる情報もあまりパッとしたにものになるのは当然です。

書籍『新しい戦略の教科書』より

とはいえ、どこでも寄付をすればいいというわけではありません。自分の関心は、with コロナ時代に突入したことによって露呈した身の回りにある課題へのシフトして行きました。例を挙げると、保育園に通っている子供がいるのですが、保育園の救援や登園の自粛で賃金を減らされ退職を余儀なくされた保育士の方々への支援がまず一つ。そして言わずもがな、重労働を強いられている医療従事者への支援です。他にも、いずれ自分も関わるであろう介護や、次世代の人財が直面する就職難といった分野にも関心があります。

自分はこれまでにリクルートや Ubie を通じて就活や医療の課題解決に挑んできました(自己紹介ページ)。一方で、自分の身体は一つしかないので、全ての分野に関わることは不可能です(当たり前ですが)。たださえドメイン知識を有する人が急務であるというのに、いちからドメイン知識を習得するにはかなりの時間を要します。自分がこれまでに関わってきた分野に関しても、まだまだだなと思うときは多々あります。

であれば、その分野におけるスペシャリストに寄付という形式で支援すればいいのでは?と閃きました。それも、それぞれの分野の社会課題に本気で向き合っている事業者に願いを託すための活動と位置付けることができれば、抵抗は全くありませんでした。ただ、明確な寄付先がわからないのです。そこで目に入ってきたのがサブスクリプション形式の寄付が可能な「solio」「soar」でした。

選べる寄付−興味がある領域の探索

solio は寄付を滑らかにして、社会の力になりたい、をミッションとしている事業者で、「特定の分野に関心があるけど、寄付をするハードルが高い」と感じている人を支援してくれるプラットフォームを提供しています。

solio | ジャンルを選んで寄付をする、ソーシャルポートフォリオサービス

全12個の社会課題(ジャンル)の中から、あなたが支援したいと思うものに、好きな金額を毎月寄付することができます。選んだジャンルとその割合が、あなたの「ソーシャル・ポートフォリオ」になります。

solio の魅力は2つあると思っています。

  1. 自分のように、寄付をしたいんだけれども、明確な寄付先がわからないと言ったペインを解決してくれる
  2. 寄付先の事業者の信頼性を担保してくれている

前者から紐解くと、solio では解決するためにサイト上では関心のある寄付先をジャンルから自身が興味がある領域を選ベるようになっています。例えは、自分の場合は以下のジャンルの事業者に寄付をしています。自分の solio 上のポートフォリオはこちらからご確認いただけます。

  • 出産・子育て支援
  • 子どもの教育
  • 自然・環境保全
  • 動物保護

現時点(2020年1月)では12のジャンルから寄付先を選べるようになっていて、寄付先のジャンル(事業者)を変更することも容易なので、社会情勢を見ながら要求の矛先を変える柔軟性もまた魅力的です。

solio

solio の公式 note より

加えて、各ジャンルに所属している複数の団体(認定 NPO 法人、公財団法人、公益社団法人)がまとめられているため、solio が代理でそれぞれに寄付してくれる仕組みなっています。様々なバックグラウンドをお持ちの方々がサービスを運営しているため、信頼性の担保はサイトに掲載されている時点でなされていると感じています。もう一つ、寄付されたお金の使いみちが明示されており、寄付するきっかけともなった「社会課題の解決にどれだけ近いてきているのか」が活動報告としてマイページ上で表現されているのも、信頼関係の構築に繋がっているのが solio のもう一つの魅力です。

物語を起点とした寄付者と事業者の結び

同時期に soar への寄付を開始しました。

NPO法人soar 寄付ページ | soarサポーターになりませんか? 寄付会員を募集しています。

「soar(ソアー)」はNPO法人soarが運営する、人の持つ可能性が広がる瞬間を伝えていくウェブメディア。 障害や病気、貧困や格差など、様々な困難に出会った人たちをサポートする活動や、困難のなかでも自分らしく生きる人々のストーリーを記事として紹介しています。現在、ひと月に20万人以上の方がsoarを読んでくださっています。 soarは今ある可能性に光を当て発信していくことで、 …

昨今では多くのウェブメディアを目にする機会が増えましたが、その中でも soar が魅力的に思えたのは、一人一人のストーリーを大事にしているからです。それも、障害や病気、貧困や格差など、様々な困難に出会った方々が主役であることが他のメディアと一線を画すところです。

障害や病気、性的・民族的少数性、経済的・機会的な格差などによって、人が自分の持っている可能性にふたをされることない社会。生まれ育った環境や自身にある困難によらず、誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくります。

あまり大きな声では言えませんが、自分は障害者です。見えない障害を抱えています。見えないことへの辛さが、常に付き纏っています。そのため、soar に掲載されている記事に目を通すと、自然と自分と重ねる瞬間があります。この「知らない」ということが引き起こす悲しみをなくしたいという soar の想いとリンクし、社会に広げる活動を託したいと思ったことが寄付に至った背景です。

soar への寄付はそれだけでは終わりません。共に学び、共に考えて行動していくための横の繋がりをとても大切にされていて、サービスを運営されている方々と寄付をした人々が集まるコミュニティが形成されています。活動報告のみならず、ゲストによるテーマトークとコミュニケーションが生まれる場が定期的に開催されており、一つの思想で人々が集まれる貴重な場だと思います。

寄付は(ほぼ)個人で行うものであり、孤立感が漂いやすい活動です。それを払拭してくれる soar のこの取り組みは貴重なのではないでしょうか。

社会貢献の総量を増やす

そもそもの話ですが、事業に関わっていることそのものが「社会貢献活動」です。事業活動を通じてプロダクトやサービスを提供することで、社会に貢献するという意味での、社会貢献活動です。ただ、極端ですが、所属している事業以外のいわゆる社会貢献活動は行う必要はないと捉えることができます。

しかし、冒頭でも述べましたが、COVID-19 の感染拡大によってあらゆる社会課題が露呈し、あらゆる領域への興味や関心の幅が広がっていきました。そこで寄付という名のソーシャルビジネスを支援したいという想いが芽生え、社会貢献の総量を増やすために寄付することを決意しました。社会課題の解決にはかなりの時間を要することは想像できます。そのため、一時的な寄付ではなく、サブスクリプション形式の寄付が可能なのもの理にかなっています。

いざ取り組んでみると、今回ご紹介したように、これまでの寄付とは異なる新しい寄付のカタチとも言えるユーザー体験がそこに構築されていました。サービスデザインのヒントも、このような活動を通じて得られるのではないでしょうか。2021年。新しい挑戦を楽しんでいきましょう。

キャンバスとは?

プロダクトやサービス開発における様々なズレを解消するためのツールの一つとして「キャンバス」があります。この記事を読まれている方であれば一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、Business Model Canvas(ビジネスモデル・キャンバス)Lean Canvas(リーン・キャンバス)などが有名です。キャンバスは、複雑な情報を一枚絵に構造化してわかりやすくしてくれているので、意思決定を加速させてくれる非常に便利なツールです。

他にはどんな便利なキャンバスがあるんだろう?と興味本位で2〜3年かけて情報収集をしてみたところ、約200種くらいありました。時代の変化と共にインスピレーションを受けながら増えていったことを想像すると、多分もっとあるでしょう。それらは自身の Pinterest でコレクションとして今も集めています。キャンバス集めは、もはや趣味です。

200 Useful Canvas for Designing User Experience ideas in 2021 | business model canvas, design thinking, business canvas

Collection by Kazumichi SAKATA * Last updated 1 day ago There’s a great feeling that comes from working in a small team made up of the same people for a long time. Everything clicks, you’re a well oiled machine where everyone knows their part and that of…

その中にはあまり知られていないけれども、あらゆる課題を解決してくれるキャンバスが沢山埋もれています。ただ、あまりにも数が多いので、今回はその中でも自分の中でヒットだった5つのキャンバスをご紹介したいと思います。

  1. Social Media Strategy Canvas(ソーシャルメディア戦略・キャンバス)
  2. The Brand Canvas(ブランド・キャンバス)
  3. Team Canvas(チーム・キャンバス)
  4. Project Canvas(プロジェクト・キャンバス)
  5. Workshop Preparation Canvas(ワークショップの企画のためのキャンバス)

それでは一つ一つ見ていきましょう。

1. Social Media Strategy Canvas

ソーシャルメディアは今となってはビジネスにとってクリティカルな、かつゲームチェンジャーともなり得るマーケティングチャネルです。なぜなら、ソーシャルという文字通り、自社とクライアントやユーザーを繋ぐ大事な接点となっているからです。プロダクトマーケティングの観点からも、PSF(Product-Solution Fit)を探る上で重要な役割を果たします。

Social Media Strategy

Copyright © 2015 Marketing Solved

  • どのソーシャルメディアから始めればいいかわからない
  • どれが相性がいいのかわからない
  • 何を投稿すればいいかわからない
  • 以前かじったことがあるけれど、うまくいかなくて辞めた

このキャンバスは、上記のような身近な課題をシンプルに解決してくれます。プライベートではソーシャル・ネットワーク・サービスを使い倒しているけれども、事業戦略の位置付けでいざ初めてみるとなると、どうしたらいいかわからないときがあります。自分自身も以前 Facebook マーケティングをやったことがありますが、四苦八苦してしまい、今これがあったら便利だったんだろうな、と思いました。

このキャンバの考案者によると、3ヶ月もすれば効果が見え始めるとのこと。Twitter のフォロワーが何千人増えたとか、ソーシャルメディア経由の収益をデイリーで挙げることができた、とかとか。

キャンバスにまとめられている項目一覧:

  • ユーザー情報(デモグラに加えて、好むブランドや興味など)
  • 月間目標(何を達成したいか、何をPRしたいか)
  • 目標を達成するための月次・週次・日次タスク
  • 投稿する内容やコンテンツ
  • 投稿するタイミング(過去のデータを元に最適化)
  • 投稿する頻度
  • 投稿先のプラットフォーム

テンプレートのダウンロード:

How To Create a Fail Proof Social Media Strategy That’s Simple and Gets Results – Marketing Solved

If you’ve decided it’s time to get serious about social media, I’m here to tell you – YES, it is time! Social media has been a real game changer for businesses and for one reason, it’s SOCIAL. It really is the connection between you and your future clients.

2. The Brand Canvas

ブランド戦略という言葉を耳にすることがありますが、ブランドの範囲がかなり広いため、どのようなアクションが求められ、実行されるべきなのかイメージが湧かないときがあります。

ブランドと聞くとロゴ、つまりは CI を真っ先に想起しますが、モノよりもコトの時代となった今、Apple Watch に代表されるようにシンボルだけではなく、人の生活をより豊かにするためのストーリーであったり、人々の生活に根付いたコミュニケーションが求められます。

Lean Branding Canvas

Copyright © IGNITION Framework

このキャンバスは、それらを構成する要素を細かく分解して一つのブランドを作り上げることができると思います。ガイドラインに等しい項目もあるため、デザイナーやマーケティングの部署と協業しながら埋めていくといいかも?

キャンバスにまとめられている項目一覧:

  • ストーリー
    • プロダクトが置かれているポジション(インセプションデッキのような扱い)
    • 顧客への約束ごとを一言で
    • ブランドを擬人化した時のパーソナリティ
    • ペルソナ
    • ストーリーボード(ソリューションがユーザーの目標をどのように助けるか)
  • シンボル
    • タイポグラフィ
    • カラーパレット
    • ロゴ
    • 使用する画像
  • 戦略
    • 認知度向上のための施策(チャネルやコンテンツなど)
    • 収益につなげるための施策
    • マイルストーン(メッセージを発信するタイミングなど)
    • 継続的なコミュニケーション手段(シェアの促進など)

テンプレートのダウンロード:

The Brand Canvas – How To Create and Communicate A Compelling Brand – Ignition Framework

Why does Apple’s brand mean so much to so many people? How is it that they seem to sell their products almost effortlessly while other manufacturers are constantly clamoring for our attention and we give them no heed? When it comes to innovation, invention is only half of the equation.

3. Team Canvas

チームワークはプロダクトの成功を左右します。

全社のミッションやプロダクトの戦略を共有することはチームのコミュニケーションを円滑に進めるために、最低限必要であることは誰もが認識していることだと思いますが、実は普段会話しない内容がチームワークを良くする上で大事だったりするのではないでしょうか。これは自分の経験なのですが、個人には強みや弱みがあり、やりたいこととやりたくないことがあり、それを理解せずに進めてしまうと本当のチームとして機能(ワーク)しないことがあります。自分自身もやりたくないことがあるので、それは周囲に明示するようにしています。

Team Canvas

Copyright © 2015 The Team Canvas

そこで目に止まったのが「Team Canvas」です。これはワークショップ形式で、約1時間ほどかけてチーム全体でまとめると効果的だそうです。結構踏み込んだ会話が求められるので、アイスブレイクも兼ねて進めるといいかもしれません。

キャンバスにまとめられている項目一覧:

  • チームメンバーと役割
  • チーム共通のゴールと個人としてのゴール
  • 目標を達成するために活かせる強みやソフトスキル
  • チームと個人の弱みと直面しうる課題
  • チームとしての行動規範
  • 個々のニーズやチームへの期待
  • チームが大切にすべき価値
  • 目的(なぜしているのか、何をしようとしているのか)

テンプレートのダウンロード:

Learn about Team Canvas – Team Canvas

Years of observing, leading and consulting small teams made us realize that it’s not the lack of knowledge that makes effective teamwork so hard. It’s the hard questions themselves that are not being asked at the right time.

4. Project Canvas

「Project Canvas」は、プロジェクト全体におけるコミュニケーションをシンプルに、そして明確にするためのキャンバスです。プロジェクトのキックオフや、プロジェクト途中のチェックイン、そして振り返りの際に利用することを想定されています。インセプション・デッキと重複する要素はあるものの、正式文書ではなくビジュアル化することで、相互理解を促すことができるのでいいなと思いました。

Project Canvas

Copyright © 2016 Project Canvas Creators

これも自身の経験ですが、過去のプロジェクトではこのキャンバスと似たような項目をワークショップを通じて外部化したものをプリントして、壁に貼り付けたりしました。データとして格納するよりも、目に見えるところにあるとプロジェクト中に迷子になりづらいので、おすすめです。また、希かもしれまぜんが、複数のプロジェクトにアサインされている状態の場合、より効果が発揮されるかもしれません。

キャンバスにまとめられている項目一覧:

  • プロジェクトの目的
  • プロジェクトのスコープ
  • 成功指標(プロジェクトの成功を定めるための指標)
  • 主要なマイルストーン
  • 主なタスク(やるべきこと、方針など)
  • アウトカム(最終的に成し遂げられるもの、成果)
  • チームメンバー
  • ステークホルダー
  • ユーザー
  • リソース(予算など)
  • 制約事項(外的要因による弊害など)
  • リスク

テンプレートのダウンロード:

Project Canvas – Visual project communication and overview

Project Canvas is made by project facilitators and project management professionals, who seek to simplify the challenge of project communication – before, in and after project execution: project kickstart: pitching and project initiation. project overview: project briefing and status. project management: task assignment and project progress.


5. Workshop Preparation Canvas

過去にワークショップを企画並びに実施した経験はありますか?

その時その時の関係者を巻き込みながら、プロジェクトを効率的に進める上で様々なワークショップを開くことがあります。ワークショップの落とし穴は、ただ楽しいで終わってしまわないことです。楽しいのはいいことなのですが、目標が達成できたかどうかがワークショップの成功を判断する上で重要となります。このキャンバスでは、ワークショップを成功させる上で必要な「6つのP」をまとめてくれています。

Workshop Preparation Canvas

Copyright © 2018 Toby Sinclair

ロジスティックな部分など、基本中の基本についての明記を促していますが、疎かにしてしまうことがたまにあるので埋めておいて損はなさそうです。

キャンバスにまとめられている項目一覧:

  • Purpose(目的、なぜやるのか?)
  • Practicalities(いつ、どこでやるのか?どのようなセットアップでやるか?)
  • Participants(参加者はだれか?各人のニーズは何か?)
  • Products(事前に準備すべきものは何か?題材は何か?)
  • Process(アジェンダは何か?)
  • Principles(どのように意思決定が行われるか?ワークショップの価値は?)

テンプレートのダウンロード:

Workshop Preparation Canvas

“Give me six hours to chop down a tree and I will spend the first four sharpening the axe.” ― Abraham Lincoln I have run many workshops and by far the most important part to a successful workshop is the preparation. From my experience a one day workshop requires at least three days preparation and maybe…

番外編:ユニークなキャンバス2選

以上、キャンバス・コレクターの自分がオススメする5つのキャンバスでした。本当はもっと紹介したいのですが、たださえ長い記事なのに、更に長くなってしまうので最後に2つだけ、番外編としてとてもユニークなキャンバスをご紹介します。もはやプロダクトやサービス開発に関係がないかもしれませんが、悪しからず。

Negotiation Canvas(ネゴシエーション・キャンバス)

誰かとネゴシエーション(交渉)するときに、自身の考え方を整理するのをサポートしてくれるキャンバスです。みんながハッピーになり得るアイディアを複数考え、上手くいかなった時の対処法まで考えるというバックアップ付き。

Check out Negotiation Canvas, a free workshop template!

One-page tool for success in any negotiation.

Life Canvas(ライフ・キャンバス)

その名の通り、人生について考えることができるキャンバスです。自身のビジョンやスキルが世界のニーズとマッチしているかどうかを測るために活用することができますが、今話題の Ikigai についても触れられているので個人ワークでやってみる価値はありそうです。

The Life Canvas

The Life Canvas is a framework that provides a simple, visual method of defining, understanding, and utilizing your unique capabilities and desires to build the future of your dreams.

まとめ

こうやって一つ一つのキャンバスに目を通してみると、キャンバスというフレームワークはとても奥が深いです。

今回のように、高度な思考技術によって整理された構造をリバースモデリングすることで、意図が汲み取りやすくなり自分自身の頭の整理にも役立ちます。また、いざ埋めようとしても、埋められない項目があったりします。つまりそれは、情報が欠落しているということです。欠落しているということは、失敗する可能性があるということです。キャンバスのいいところは、一枚絵にすることで、欠落した情報を見逃すことができないところだと思います。

一つでもいいので、試しにやってみませんか?

もし、微妙だな〜と感じられた方がいれば、実用性が比較的高い以下のキャンバスから始めてもいいかもしれません。実際にやってみましたが、難易度はやや高めですが…。

GO Product Roadmap | Roman Pichler

Roman’s book Strategize: Product Strategy and Product Roadmap Practices for the Digital Age features the GO Product Roadmap and provides more information on how to effectively use it. You can buy the book on Amazon. ​ Buy the Book More Information

The Hypothesis Prioritization Canvas | Jeff Gothelf

(Want to get this article in your inbox? I publish one article a month and share it in my newsletter first. You can sign up here and join 14k other subscribers .) Over the past 10 years we’ve been lucky to have a tremendous amount of content, practice and experience shared to help us build and design better products, services and businesses.

おまけ:自分がプロダクトマネージャーとして大切にしていること

Pivotal Labs で学んだプロダクトマネージャーとしての大切な視点 | mariosakata.com

Pivotal Labs で働いて4年が経とうとしています( 自己紹介ページ)。本題に入る前に、Pivotal Labs という会社を知らない人が大半だと思うので、弊社の こちらのブログ記事 に詳しく書かれていますので、ご参考ください! Pivotal Labs …

この記事では「ローマ式投票法(Roman Vote)」という意思決定を支援するためのアクティビティの一つをご紹介します。ローマ式投票法の導入によって、チームは様々なメリットを得ることができます。チームのコンセンサスが得やすく、サポートしあえる関係を構築できたり、チームの心理的安全性を担保できる、など。みなさんは、普段からどのように周囲のコンセンサスを得ていますか?

意思決定の場でよく起こること

複数人で何か意思決定をするときに、困った経験は誰にでもあると思います。それが例え仕事だとしても、プライベートだとしても。さぁ、意思決定をしようとするときに静かになる。そこで口にする「みなさん、これでいいですか?」それに対して、コクリと頷く人もいれば、異論がなければそれは賛成という都合のいいように解釈して、その場を締めちゃうなんてことはありますが、それは周囲のコンセンサスが得ているとはとても言えませんよね。以前ブログでもご紹介した「2×2」を実践する上でも同様のケースに陥るかもしれません。

2軸で考えるプロダクトデザインの シンプルな意思決定方法

9月上旬に、 UX MILK 主催の「 UX MILK Fest 2019」という大きなイベントに登壇させていただく機会がありました。「2軸で考えるプロダクトデザインのシンプルな意思決定方法」と題した当日のセッションでは 「2x2」という手法をご紹介しました。セッションでお伝えしたかったのは、この手法を取り入れることで、様々な角度から軸となる考え方を UX …

どうすればもっと効率よく合意することができるのか?よくある模範回答は以下の2つではないでしょうか。

  1. 多数決によって決める
  2. 相談や話し合いの場を設けて偉い人が決める

これでもし、周囲のコンセンサスを得ることができたのなら、それは嬉しいですよね。二人とかだったら争いはないのでしょうけど、それがプロジェクトチームのように複数人が関与していた場合、多くの意思決定の場が懸念点の洗い出しやアイディアの出し合いで終わってしまい、次に持ち越されることもしばしばあるのではないでしょうか?自分はよくありました。「また別途お時間を調整して相談させてください」は一時、自分の中での流行語大賞になっていました。

「賛成」や「反対」の文脈で許容してしまうと、結果に対するサポートであったり、より良い提案が生まれにくくなってしまいます。決定事項に対して納得して熱量が半端ない人もいれば、しらけている少数派の人だっているでしょう。このような意思決定方法論が続くと、中長期的に見るとプロダクトや組織に関する課題は徐々に表面化してくる恐れがあります。

そのため、最適なアプローチはどれほどのコンセンサスが周囲から得られているのかを見える化することにあり、最終的な意思決定の前に不明点や反対意見をも受け入れることです。ここでご紹介する手法は「ローマ式投票法(Roman Vote)」です。

ローマ式投票法とは?

古代ローマでは、剣闘士であるグラディアトルが戦った闘技会のコロッセウムにて、その場を埋め尽くしていた民衆の意見を「Thumbs-up」または「Thumbs-down」で判断し、意思決定をしていたと言われています。20年ほど前に公開された映画「Gladiator(グラディエーター)」で、当時のローマ皇帝が敗北した剣闘士の始末を決定する際に、これを用いているシーンがあります。

  • Thumbs-up(親指を立てる):賛成します、または受け入れます
  • Thumbs-side-ways(親指を横にする):マジョリティの意見に乗ります
  • Thumbs-down(親指を下向きにする):受け入れません、意見があります

もし全員が Thumbs-down だった場合、その案は却下ですよね。もし、複数の意見が対立した場合、Thumbs-down の意見をまずは聞いて同意した内容について振り返りを行います。そうすることで、Thumbs-up がマジョリティでも Thumbs-down が複数見られる場合は、その意見を参考にする機会が与えられます。但し、大半が Thumbs-side-ways だった場合は注意が必要です。あまり参考にならないことが多いです。どちらでもないが多いと、論点の再整理や条件の見直しを推奨します。

ローマ式投票法の流れ

ローマ式投票法は実はプライベートな場でも用いることができます。ここでは、高校時代の同級生5人と一白二日の旅行を計画するときのシチュエーションを想定したときの、ローマ式投票式の流れをご紹介したいと思います。

  1. ファシリテーターを決める
  2. 決めたい内容の共通認識を合わせる
  3. 前提条件を整理する
  4. 会話のための時間を設ける
  5. 意思決定に必要な情報を整理する(候補など)
  6. ローマ式投票法で決める

ファシリテーターは旅行をしよう!と提案した人です。わかりやすくFさんとしましょう。Fさんは、来週末の旅行先を決めるために、4人をカフェに誘いました。Fさんは先ず、集まってもらったメンバーに趣旨を伝え、移動手段や一人当たりの予算を提案します。それを聞いてメンバーは旅行先の候補を挙げていきます。行動範囲、混雑状況、当日の天気などから絞られていきましたが、会話が行ったり来たりで収集がつきません。幾つか優勢な案が出たところでFさんは会話を切り、ローマン式投票法を実施することにしました。

Fさん「では、旅行先を軽井沢にするかどうかで、みんなの意向を聞きたいと思います。では、せーのって言ったら親指を立てるか、横にするか、下げるかで教えてください。いいですね?では、せーの!」

(親指を立てた人:二人、親指を横にした人:二人、親指を下向きにした人:一人)

Fさん「割れましたね〜。まずは親指を下向きにした人の意見を聞いてみましょう。それを踏まえて、横にした人の考えも聞いてみたいと思います。では…」

ビジネスの現場はこんなに軽くないですが、一通りの流れとローマン式投票法の意味についてご参考になると嬉しいです。

ローマ式投票法をプロダクト開発に取り入れる

これはプロダクト開発を進める上で、日々の小さな意思決定をする場でも役立ちます。デザインコンセプトを決める場であったり、バックログの優先順位をチームで合意するときであったり。決定が明確なシチュエーションにおいては毎回実施しなくてもいいと思いますが、ポイントは周囲の、みんなからのコンセンサスが十分に得られているかどうかです。

コンセンサスが得られているということは、周囲からのサポートが得られるということです。例え、それが反対していた案であったとしても自分の意見をも受け入れた上での結果であれば主体性が生まれます。最近よく心理的安全性という言葉を聞きますが、それに近いと思います。

いずれ、ローマ式投票法が要らなくなる状態に持っていくことが、チームとして目指すべき姿なのかもしれませんね。

導入にあたってのアドバイス

もし、ローマ式投票法に興味があるのであれば、最後に二つのアドバイスがあります。

  1. なるべく早い段階で取り入れることを推奨します。なぜなら、既に特定の人物によって意思決定の場が支配されている場合は、あまり効力がありません。時間が過ぎれば過ぎるほど、チームのコンセンサスが得にくくなります。振り返りになりますが、そうなると、チームはどうなるでしょう?
  2. どの場でも取り入れようとしないこと。時間などの期限を設けて、それまでに明確な意思決定ができなかった場合にローマ式投票法を用いると、客観的に見ることができるのでオススメです。ローマン式投票法だけでしか決めれないチームは、逆に疑った方がいいかもしれません。

個人的に学んだのは、ローマ式投票法は全てを解決してくれる訳ではないということです。最も重要なのは、自分自身が下した意見から一歩引いて、見る姿勢を持つことです。頑固はよくないです。チームで前に進むためには、頑固者はいない方がいいです。

この空気に任せる曖昧な意思決定に終幕を!

背景

4年ほど前に、オライリーより出版された『デザインの伝え方』という書籍の監訳を担当させていただきました。

デザインの伝え方

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組織におけるコミュニケーション術という副題で、デザインを他者に伝える際に注意すべきギャップや、必要な心構え、そして効率的に合意形成を進めていくためのテクニックが書かれています。

なぜ、今ここで『デザインの伝え方』を取り上げるのか。自分はかれこれ約2ヶ月弱、在宅で仕事をしています。そのため、チームはもちろん、ステークホルダーや他部署の関係者との会話は全てオンラインで完結しています。いや、完結するように工夫せざるを得ない、といった表現が正しいのかもしれません。

昨日(5月7日)にこんなツィートをしました。

フルリモートに完全移行すると、それまでのコミュニケーションに様々な変化が訪れます。例えば、相手が見えなくなる。オフィスにいる場合は、チームやステークホルダー、関係部署の人間は姿を探そうと思えば見えるのは当然のことです。しかし、オンラインでは誰が、何をしているのかが見えづらくなり不安を掻き立てます。そうなると、プロダクト開発の進め方にも影響が出てきます。その内の一つが、目に見える成果物を具体的に示さなければならなくなったことだと考えています。Before コロナは自分の成果を見える範囲で証明することができましたが、それが見えづらくなった今、自分から積極的に共有しなければならない状況にシフトしているように思います。

そのために、デザイナーはデザインをすること以上に、周囲にデザインを理解してもらうためのコミュニケーションに力を入れなければならないと考えています。

半分宣伝っぽくなってしまいますが、そこで参考になるのが『デザインの伝え方』です。

デザイン領域の特徴

専門家でもない人が専門家の仕事に意見する権限を持つーこれは現代の組織において、デザイン以外の分野ではほぼあり得ない現象です。

本書に書かれている一文です。ハッとさせられました。確かにそうかもしれません。デザイナーが手がけるインターフェースはいつの間にか組織全体の対ユーザーのインターフェースとなり、自然の成り行きとして非デザイナーとの接触機会は増えてきています。先日書いた「デザイン思考の如くー陥りやすい3つの誤解」という投稿でも、創造活動としてのデザインに非デザイナーを迎え入れることができた背景について述べました。

デザイン思考の如くー陥りやすい3つの誤解 | mariosakata.com

イノベーションに関するイベントのタイムテーブルに目を通すと、約9割くらいの確率でデザイン思考という言葉を目にするようになりました。現在半額セール中の amazon のカテゴリ別(ビジネススキル)1位も、デザイン思考関連の書籍です。(2020年5月4日時点) なぜ、このようにデザイン思考が注目されるようになったのでしょうか。歴史を振り返ってみると、IDEO と言う企業の存在は欠かせません。

結果として、デザインは他の分野に比べると、はるかに意見の対立しやすい分野になりました。

視覚的に目にするものであるが故に、デザインが主観的なものであると捉えられることが多く、我々の直感がデザイン上の問題をどう解決してくれているかを明確に説明できないでいます。そのため、ステークホルダーがデザイナーに注意を喚起する問題や懸念の大多数は、誤解や伝達の不備に起因しており、コミュニケーションが成立していないにも関わらず、成立したと思い込むことによって発生します。

これからのデザイナーに求められるスキルは、ステークホルダーや関係者の期待をうまく調整する能力なのです。

デザインを伝えるポイント

ステークホルダーや関係者の期待をうまく調整する能力は、素晴らしいデザインを生み出す能力よりも重要になってきます。大変ではありますが、プロダクトをデザイナーとしての視点だけではなく、ユーザーに共感するように、ステークホルダーの視点から見てみると、より良いデザイン(プロダクト)を生み出す可能性が広がってくることがわかります。

本書では、ユーザーに対する場合と同じ原理原則を紹介しており、組織におけるステークホルダーとのコミュニケーションにも適用する方法について述べています。デザインを理解してもらうためのコミュニケーションは、デザインそのものよりも重要であり、冒頭で述べた通り with コロナの今は尚更です。

ステークホルダーないしは関係者にデザインを伝える際のポイントは3つあります:

  1. このデザインはどのような問題を解決できるのか?
  2. このデザインはユーザーにどのような影響を与えるのか?
  3. このデザインが代替案よりも優れている理由は何か?

お気づきでしょうか。実はこれ、ユーザーにも同じことをデザインを通して伝えているはずなのです。

  • このデザイン(プロダクト)はあなたのこの問題を解決することができます
  • このような価値を提供することができます
  • 他のデザイン(プロダクト)よりも、こっちの方が優れている理由はこちらです

前述の通り、組織におけるステークホルダーや関係者とのコミュニケーションは、ユーザーに対する場合と同じ原理原則を当てはめていることがわかります。

悩んだら、相手の裏側を引き出す質問を準備しておくのも有効です。以下が本書で挙げられた例です。

  • どんな問題を解決しようとしているのか?
  • この方法で行なった場合、どのような利点があるのか?
  • これは、このプロジェクトの目標にどんな影響を与えるのか?

これらの質問は、ステークホルダーとのコミュニケーションにおいて実はマストだったりします。と言うのも、オンラインだとどうしても存在が薄れて声が小さくなってしまう人が出てきてしまい、気軽さも欠けてしまってフォローアップが困難だったりするからです。その場合は、ややくどいぐらいに明確にしておくとコンセンサスは取りやすいかもしれません。

偉大なデザイナーは、偉大なコミュニケーター

偉大なデザイナーは、偉大なコミュニケーターという章があります。デザイナーは、ユーザーとの接点を担う人です。そのため、多くの関係者と会話しなければいけないのは必然であり、それは理解しなければなりません。そのため、平等に意見を言ったり質問をすることに、躊躇してはならないと思います。自分の経験からしても、上で紹介されているような質問を聞く権利は新卒だろうと、新しく入ってきた中途だろうと、誰でも聞く権利はあります。逆に耳を貸してもらえない組織は、おかしいと思います。

最後に、本書では、デザインの伝えるときの心構えとして、IDEAL というコンセプトを紹介しています。

  • Identify the problem:問題を特定すること
  • Describe your solution:解決策を説明すること
  • Empathize with the user:ユーザーの気持ちになること
  • Appeal to the business:組織にアピールすること
  • Lock in agreement:合意を確実に取り付けること

合意が得られれば単なる IDEA(アイディア)を持っている段階から、本当に理想的な(IDEAL)なプロダクトやサービスが生み出せる段階へ進むことができるのではないでしょうか。

非デザイナーの方へ

本書の最後の方に、デザイナーと仕事をよくする非デザイナーの方向けの言葉があります。デザイナーと仕事をするときに、ぜひ心掛けて欲しいと思います。そうすれば、今まで以上に共創できるはずです!

  • 焦点を当てるべきは「デザインの好き嫌い」ではなく「デザインの有効性」
  • 解決策の提案はせずに、理解のための質問をする(それもいくらでも)
  • 「自分もユーザー」という考え方は捨てる
  • デザイナーの説明をちゃんと聴く
  • デザイナーにも決定権を委ねる
  • 言葉使いを丁寧にし、フラットな関係を保つ
  • 裏付けとなるデータの有無を尋ねる
  • デザイナーが成果を上げるのに必要なものを漏れなく提供する

最後まで読んでいていただき、ありがとうございました。