リモート環境でもチームのアジリティを維持する4つのコツ

目次

はじめに

プロセスやツールよりも個人と対話を

これはアジャイルソフトウェア開発宣言の一文です。アジャイル開発を継続するための重要なファクターの一つに、コラボレーションがあります。同じ場所(環境)に身を置くことで、より高い生産性とより早い意思決定が可能になることは既に多くの研究や事例によって明らかになっています。自分がいる会社でもそのようなモデルでクライアント・ワークをしていますが、自分もそう思います。
ただし、それはオフラインに限った話であって、今回のようにコロナウイルス(COVID-19)の拡大に伴う在宅勤務の推奨によってオンライン環境を余儀なくされた場合はどうすればいいのでしょう?自分自身も初めてだったため、戸惑いはありました。それは自分だけではないと思います。生産性も落ちました。ただ、それはある意味オンラインにおけるコラボレーションは本当に有効であることの裏返しでもあります。むしろ、視点を変えればリモートワークはアジャイルなチームと相性が良いのではないか、とも思うようになってきました。これは錯覚なのでしょうか?確かに外の空気をたまに吸いに出ないと頭がおかしくなりそうなときはありますが、そうではないと願いたい。
自分の場合、リモートワークはプロジェクトの開始とほぼ同時に始めたため、幸いにもいろいろ試行錯誤をする余地がありました。結果、比較的効果が見込める取り組みがいくつか見えてきたので、参考になればと思い、以下の4つをご紹介したいと思います。

  1. 何事も優先度をつける、徹底的につける
  2. 小さなチームで柔軟に動く
  3. 先を見据えて計画立てて動く
  4. チームメンバーに奇想天外な役割を与えてみる

何ごとも優先度をつける、徹底的につける

これは何もバックログに限った話ではなく、ユーザーリサーチのためのリクルーティングや日々のTodoまで、チームとして、または個人として今優先すべきことは何か?と問い続けることで、価値を見失わないでいられる効果があります。
リモートだとどうしても一定の距離ができてしまうため、ある種の「許し」が無意識に生まれてしまう。ペースを維持しようにも、心情が相手に伝わらないときがあります。そのときは、自分が率先して「嫌な役」を演じ、優先度が徹底されているか、チームに問うようにしています。悪いことはしていない(と思う)。より悪くならないようにしているだけ。
別の投稿でもご紹介している「Experiment Board」がチームが一丸となってプロダクト開発に集中できる環境を整えやすくしてくれるかもしれません。

小さなチームで柔軟に動く

現状、クライアントとのコミュニケーションは常に Zoom で接続しながら進めています。そんな働き方です。元々オフラインではコミュニケーションコストがかかるため、大勢の人を招いたミーティングを開催しないように調整はしていますが、オンラインになるとそれが途端に楽になります。MAX 8人までで、良く接続するメンバーは4人と抑えているため、必要であればプロジェクトのロードマップも変更しますし(これは最近あった)、アイディエーションもその場でやってしまうこともあります。
オンラインに移行したことで、多くの人は気付き始めたのではないでしょうか。メールって何でこんなに面倒なんだ。このミーティングって必要なのか?多くはなくても成立します。

先を見据えて計画立てて動く

これはプロダクトマネージャーとして気をつけていることなのですが、オンラインで繋ぎながら作業をしていると、オフラインよりも集中力を使うため、つい手元の作業に没頭してしまいがちです。
何のためにやっているのか?最終的なアウトプットは何か?ミーティングだろうが、作業だろうが、ゴールとアウトプットの認識が揃っていなければ、共通のビジョンに向かって歩むことはできません。それを常に頭に入れ、逆算して組み立てるようにしています。それができていないと、たださえ公私混同しがちなリモートワークでだらけてしまい、つい残業、なんて目に見えています。

チームメンバーに奇想天外な役割を与えてみる

役職や職種としての役割ではありません。どちらかと言えば、チームビルディングの一環として取り入れる文化的要素に近しいです。
自分がいるチームでは、以下の役割をそれぞれに割り振り始めています。名前のセンスはさておき:

  • 仕分け人:チームが不必要な話題に時間を費やしている場合にカットインする人。「それ、あとにしましょう」な人。
  • タイムキーパー:そのままの意味で、チームで行う様々なアクティビティの時間を管理する人。時間を過ぎたら容赦なく切る人で「はい、タイムアーップ!」が口癖。
  • Zen マスター:チームメンバーの疲労具合を見て休憩するタイミングと時間を決める人。この人の発言には注目だ。「とりあえず、休憩しますか?(^ ^)」救われる。
  • エンターテイナー: 一番ハードルが高いのだが、チームの雰囲気を明るくするための取り組み(ゲームやソフト)を紹介する人。最近、私は Snap Camera をチームに導入して大ヒット中。

順調そうに思えるが、苦労するポイントはたくさんあります。最も難しいと思ったのは、メンバー間の Empathy(共感)です。リモートという環境要因もあると思いますが、オフラインのときとは違い、口数が少なくなったり、思うように聞こえなかったりすることでイライラしやすくなった人もいます。
自分も場合によっては当てはまるかもしれませんが、相手が今どのような状況下にいて、どんな心境でこの話を聞いているのかを理解してあげなければ、伝わるものも伝わりません。
Transparency(透明性)の維持。これも難しい。オンラインだとどうしても構えてしまいます。正面を向いているからでしょうか。初対面の人との会話だと、面接のような空気を醸し出すときもあるし、無駄に緊張してしまうこともあります。その場合、思っていることや考えていることは発信しにくい。それを回避するために、どうでもいい話題を投げかけてみんなが参加できる安全地帯を作ってあげることが大事だったりしますl。
そう、リモートワークで大事なのは、1) 人を思いやる優しい心2) 安全地帯の確保なんだと思います。ハードよりも、ソフトだと思います。

僕がいるんだ、みんないるんだ、愛はここにある、君はどこへもいけない。


どうでもいいけど、リモートワークを8時間も続けていると、Zoom に接続する度にリンクスタート!している気分で、ある意味気持ちがいい。