約2年ぶりの、久々の投稿です。これよりも前の記事は、旧ブログ「UXploration」にあります。この空白期間、私は Pivotal Labs Tokyo というアジャイル開発コンサルティング会社でプロダクトマネージャーとして仕事をしています。今も変わらずにプロダクトマネージャーとして楽しい1日を送っています。

よく活動を休止していたバンドが充電期間を得て復活!というニュースを耳にしますが、この記事をいま書くにあたって同じような心境にいる気がします。言い過ぎかもしれません。この2年間はもちろんのこと、社会人になってから10年以上のキャリアを振り返ってみて、スティーブ・ジョブス氏が口にした、Connecting the Dots を実践してみようと思ったことがきっかけで、いまこの記事を書いています。

社会に出てから今日までの過程で、私が辿り着いたひとつの結論は、UX デザイナーからプロダクトマネージャーへのキャリアパスは、ありと言うこと。この先は、デザイナーのキャリアパスの先にあるものはなにか、という問いに対するひとつのアイディアになればいいな、と思っています。

 


これまで歩んできたキャリア

ざっくりまとめると、こんな感じです:

  1. UIデザイン:バナーや特集ページなどをデザイン
  2. IA(インフォメーション・アーキテクト):特集ページやウェブサイトの画面設計
  3. UX デザイン:ウェブサイト全体のリニューアルとプロジェクトマネジメント
  4. 経営企画:新規事業の立ち上げ
  5. UX 戦略:ユーザー視点におけるサービスの中長期戦略設計

いま振り返ってみるとプロダクトやサービス開発の中心に、徐々に近づいてきている気がしますね。

  • ウェブサイトのレイアウトや構造を設計していると「誰のために」つくるべきか?という問いにもっと関わって行きたいと考えるようになり、
  • UX デザインを基軸としたリニューアルを担当していたときは「なぜ」つくるべきか?という問いにもっと関わって行きたいと考えるようになり、
  • 新規事業をゼロから立ち上げた際は「正しいもの」とはなにか?という問いに関わって行きたいと考えるようになり、

ウェブサービスの中長期戦略を設計していたときは「どのように」つくるべきか?つくり続けていくべきか?という問いに関わって行きたいと考えるようになった。これは考えるときの癖なのですが、この頃から WHAT? FOR WHOM? WHY? HOW? と自分自身に問うようになり、この問いへの最適解を追求し続けたいという想いがあって、いまに至ります。

キャリアチェンジの火付けとなった(苦い)思い出

今日、サービスデザインの普及によってビジネスとデザインが少しづつ融合し始めているように思います。そのハーモニーは、私は当時から特に意識していたこともあって、いまとなってはとてもワクワクしています。しかし、ここにくるまではデザイナーとしてのキャリアが最も長かったこともあり、ユーザー視点の重要性を強く主張しすぎるあまりに、「ビジネス」とよく対立することがありました。

そして、キャリアのスタートは、組織体系として事業を横断してプロジェクトにコミットしていく、いわゆるコストセンターとして機能する横串組織に属していたため、制約がある中で自身の価値を発揮することができていないと、自分を攻めたときもありました。

  • ユーザーリサーチを実施するための時間とコストは確保できているのか?
  • この機能は本当にユーザーのためになるのだろうか?
  • リリースした後のユーザーの反応はちゃんと見ているのだろうか?

このような問いが常に頭をよぎり、敵対的、反抗的、と言われてもおかしくないコミュニケーションが続いていました。多分、多くの人に「あいつ、面倒くさいやつだな」と裏で言われていたんだと思います。ところが、いま思い返すと、自分自身がコミュニケーション先の相手のことを理解しようとしていなかったことに後になって気づきました。

そこで私は閃きました。自らが事業側にキャリアチェンジをしてプロダクトやサービス開発に関わっていけば、その理由がわかるかもしれない。それがきっかけとなって、プロダクトマネージャーという仕事に出会ったのです。

プロダクトマネージャーとしての脳トレ

改めて、私は今、私が UX デザイナーからプロダクトマネージャーにキャリア転換すきっかけとなった、サンフランシスコに本社を置く Pivotal Labs Tokyo と言う会社に勤めています。詳しい内容は Pivotal Labs Tokyo のブログ「Product Run」を覗いてみてください。

私がこれまで出会うことがなかった、Pivotal Labs が推奨している Lean XP というソフトウェア開発のメソドロジーは、自分がこれまで抱いていた課題感を払拭してくれた。特徴としては以下のようなものがあります:

  • ビジネスとユーザー双方の視点から解決すべき課題の優先度をつける
  • 解決すべき課題は、ユーザーの観点から特定する
  • 優先度はビジネスバリューが高い・低いに加えて ユーザーバリューが高い・低いで考える
  • 優先度が高く、かつ自信があるものから開発を着手する
  • 開発を小さく進めてリスクを最小限に抑える
  • ユーザーからのフィードバックをもとに続けるか/見直すか/止めるかを判断する

Pivotal Labs のプロダクトマネージャーはざっくり説明すると、ビジネスに責任を持つ人で、ビジネス上の課題を解決するためのプロダクトとはなにか、というマインドを常に保つ必要があります。このマインドへのシフトは現在も進行形だが、最初の1年よりも大分慣れてきました。「デザイナー歴が長いのに、いきなりキャリアチェンジをして苦しくない?」これはよく聞かれる質問だが、もちろん、一人でなんとかなるような仕事ではありません。周囲の助けがあって、支えられてきている。でも、いいものを作りたいという一心でキャリアを歩んできた結果、ここにいるのだから、全然苦ではないです。

終わりに

Pivotal Labs のプロダクトマネージャーとして働き初めて約2年、過去に私が直面していたビジネスニーズとユーザーニーズの対立によって生まれる摩擦を最小限に抑えるためにはどうすればいいか。その答えがぼんやりと見えてきた気がします。どちらが有利という会話ではなく、可能な限り、双方にとっての Win-Win な状態をつくりだすにはどうすればいいか、というコミュニケーションが中心となっていること肌で感じることができています。

視点は違えど、ユーザーの課題を解決しなければサービスは成功しない、という共通認識は保ちつつ、全部まとめてはできないというサービス開発の前提に立つことが最も大事で、「ならばどれから着手していこうか」というその場で発生する会話は対立ではなく、協議に等しくなっていくべきです。ユーザーにとって価値のあるプロダクトやサービスの開発と運営に関わっている人であれば、誰もが望むこと。ユーザーに一番近しい立場にいるデザイナーのキャリアパスの選択肢として、プロダクトマネージャーは全然ありだと断言できます。むしろ、仲間が欲しい。興味があれば、飲みにでも行きましょう。キャリアの原点に立ち戻れる場で。